3ゾーン・ダイナミック・パス(ゾーン2スキップ)
中盤を「飛ばす」縦パスと、その後の中盤活用を組み合わせた、動的なパスパターンドリルです。
分析と理論的背景
現代サッカーでは、中盤が密集することが多くなっています。5-4-1や4-4-2のミッドブロックでは、中央のスペースがほとんどありません。
このドリルは、その状況を打破する2つの選択肢を教えます:
- スキップパス: 中盤を飛ばして前線へ直接届ける(相手の密集を回避)
- 中盤活用: スキップパス後、前線から中盤へレイオフし、そこでポゼッションを行う(相手を引き出した後の展開)
「引きつけて飛ばす」の原理
相手守備陣は、ボールがゾーン1にある時、ゾーン2に集まります(ボールに寄せる)。この瞬間、ゾーン2の「頭越し」に縦パスを出すことで、相手の守備ブロックを突破できます。
しかし、スキップパスだけでは単調になります。第2フェーズで「今度は中盤を使う」ことで、相手の予測を外します。
バルセロナのスキップパス
バルセロナのGKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンは、スキップパスの達人です。彼は以下のタイミングでロングボールを蹴ります:
- 相手FWが前に出てきた瞬間(中盤の裏にスペースが生まれる)
- メッシ(または前線の選手)がDFと駆け引きしている時
統計によると、テア・シュテーゲンの40m以上のパスの成功率は78%(通常GKは50%程度)。彼のキックは「第3のCB」として機能しています。
実戦での使い分け
| 状況 | 判断 |
|---|---|
| 相手中盤が高い位置(前に出ている) | スキップパス(裏を狙う) |
| 相手中盤が引いている | 中盤を経由(安全に運ぶ) |
| 相手が全体的にコンパクト | スキップパス後、レイオフで中盤を使う |
このドリルで、その「判断の引き出し」を増やします。
グアルディオラの言葉
「中盤を使うべきか、飛ばすべきか。その判断ができる選手だけが、トップレベルで生き残れる。」 — ジョゼップ・グアルディオラ
このドリルは、まさにその判断力を鍛えます。